山手線駒込駅から徒歩圏内でありながら、自然豊かな高台の文教地区に誕生した「プラウド駒込トレサージュ」。街の歴史や文化、自然環境を読み解き、恵まれた敷地にそのエッセンスを盛り込みました。本件担当者のプロジェクトへの想いを語ったインタビューをお届けします。
(話 : 住宅事業本部 事業推進一部推進二課 髙林 太一)
「プラウド駒込トレサージュ」はJR駒込駅から徒歩8分、にぎやかな商店街を抜けた高台にあります。
周辺には旧古河庭園や六義園などの庭園や、聖学院という由緒ある学校があり、大通りに面してはいますが車の通行も少なく、静かで落ち着いたエリアです。
古くは社宅が、最近までは聖学院小学校の仮校舎が建っていた敷地は約4000m²のゆとりある面積で、しかも4面が道路に接しています。限りある敷地に建つ塔状のマンションが多い駒込にあって、ここまで広く、かつ隣接する建物が4方向とも迫っていない開放感のある土地は稀有といえるでしょう。
そうした恵まれた敷地条件を読み解きながら、建物の計画やデザインを進めていきました。
四方接道の広い敷地を生かすため、最も力を入れたのは植栽計画です。
まず、敷地の外周はただ生け垣だけで囲うのではなく、道行く人も四季折々の花や緑が楽しめるよう、生け垣の外側に中木や低木をできるだけ植えました。
植える樹種も周辺に植わっている樹木との兼ね合いを考え、たとえば大通りに面した南側は、街路樹のイチョウが落葉した冬も緑が楽しめるように常緑樹のシラカシを植え、近くにハナミズキの木がある裏手には呼応させるようにハナミズキを配し、北区発祥といわれる桜のソメイヨシノを植え込むなど、気を配っています。
一方、敷地内の中庭には、直線や幾何学を生かした洋風庭園「モダンガーデン」と、曲線を生かして紅葉を植えた和風庭園のイメージの「ナチュラルガーデン」をふたつ設けました。
これは旧古河庭園に、バラが咲き誇る西洋庭園と、京都の名高い作庭家・七代目小川治兵衛が手がけた日本庭園のふたつがあることから着想を得たものです。
実際に植える主な樹木は現地まで見に行って選んだものも多く、モダンガーデンの高さ8mのシマトネリコは鹿児島まで足を運んで選定しました。
敷地の近くには、シンボリックな礼拝堂が目を引く女子聖学院や、格子状の面格子が目を引く滝野川教会など、幾何学的なデザインを採り入れた文教施設が点在しています。また、英国人ジョサイア・コンドルが手がけた旧古河庭園の洋館も、落ち着いたたたずまいの濃い茶色の外壁が印象的です。
そこで、建物の外観デザインについても植栽と同様に、この街の面影を映しながら新たな風景をつくることを目指し、「アカデミック・モダン」というコンセプトを掲げました。
外壁には茶系の風合い豊かなタイルを貼り、バルコニーの手すりには格子状の幾何学的なデザインを採り入れています。四方接道であるため、ファサードのある南側だけでなく北側にも格子のモチーフを生かすなど、どの面のデザインにも気を遣いました
一見すると目新しさはないように見えるかもしれませんが、10年後、20年後にも色あせないデザインを追求した結果です。
苦労したのは外壁タイルの色の調整で、設計中に何度もサンプル用のタイルを焼いて検討しました。旧古河庭園をヒントにして落ち着きを持たせたいと思い、茶系のタイルを選びましたが、濃すぎると暗い印象になるし、かといって薄すぎると古びた印象になるので、そのバランスが難しかったです。
エントランスやライブラリーなどの共用スペースは、ホテルのラウンジをイメージし、品格や上質さが感じられるデザインを心がけました。ここにも外観と呼応するように壁面や柱周り、造りつけの家具など、随所に格子のデザインを採り入れています。
ライブラリーの壁面には、光の当たり方によって微妙に表情が変化する凹凸のあるタイルを貼りましたが、このタイルの採用例がまだ1件しかなかったため、その施工例を見に行ったりしました。大きな面積に用いる内装材はやり直しがきかないので、入念な検討が必要です。
外観、植栽、内装と、全体に周辺環境と調和する統一感あるデザインを貫くことで、どこにあってもいいようなものではなく、この場所でないと成り立たない建物が出来上がったと自負しています。
住戸の標準プランは70m²台の3LDKが中心で、広い敷地を生かした、ゆとりあるプランニングを実現しました。
敷地面積が狭いマンションでは各住戸もおのずとコンパクトになり、バルコニーの幅や奥行きも限られがちですが、ここでは幅約6m超、奥行き約2mを確保した広いバルコニーを設けました。
おそらく、この物件はDINKS、ファミリー、ご年配のかたと、年齢層も家族構成もさまざまなお客様がいらっしゃるのではないかと思います。そういった皆さんが日々、上質さを感じることができ、長く安心して暮らせる住まいになればと願っています。
※掲載の情報は、2017年12月時点の情報です
※こちらの物件は完売いたしました。
インタビュー
野村不動産 住宅事業本部 事業推進一部推進二課 髙林 太一
現在、入社7年目ですが、実は最初の2年間は住宅営業部に在籍していました。お客様の中には悩んだ末に購入を決める方もいらして、それぞれの心情を肌で感じた経験は自分の大切な財産になっています。
住戸の使い勝手はもちろんのこと、外観、共用部など、どこを取っても、お一人お一人に「買ってよかった」と100%思っていただけるものを計画しようという意識につながるからです。今でも、お引き渡しの際にお客様が満足してくださっている様子を目にすることは何よりうれしいですね。