駅から徒歩4分の距離にありながら、エントランスの手前に奥行き約30mもある緑豊かなアプローチを設けた「プラウドさいたま新都心」。開放的なマンションを生み出した設計の知恵と、建物の見どころを担当者が語ります。
「プラウドさいたま新都心」は、周辺に住宅地が広がる「北与野」駅から徒歩4分、官公庁や商業施設が集積した「さいたま新都心」駅から徒歩11分の場所にあり、落ち着きとにぎわいをともに享受できる立地が魅力です。
計画に当たっては、設計と協議し、敷地の南端に寄せて12階建ての建物を配置することにしました。シンプルなI型配棟にすると全47戸が南向きになり、光や風や眺望が採り入れやすい利点もあります。
外観のデザインは、白いタイルを基調にしつつ、植栽が映えるよう、茶系のタイルをアクセントにして、コントラストをつけました。エレベーターや外階段、アクセントタイルの縦ラインと、ガラスや横格子状の手すりが生み出す横ラインを対比させています。また、バルコニーのある南側は左右2カ所に、縦方向に走る茶色と白の「マリオン」を配していますが、このラインによって建物の陰影が強調され、よりシャープな印象に見えます。
建物を南側に寄せたことで、北側の道路との間に奥行き約30mの広い余地が生じました。そこでこのスペースを積極的に生かしたいと考え、駐車場は機械式ではなく平置きにして、さらにエントランスまでの緑豊かなアプローチを設けることにしました。駅から徒歩4分の立地で、建物の前面にこれだけゆとりがあるマンションは非常に珍しいと思います。
道路からエントランスまでは車道と歩道が並行して走っているため、その境に照明を兼ねたボラード(車止め)を点在させています。また歩道の反対側にはボラードと同じデザインで少し大型のものを並べて、ベンチをしつらえました。
アプローチには、道路ぎわに植えた埼玉県の木であるケヤキをはじめ、常緑樹や落葉樹をたくさん植えました。10m級の大木3本については、九州の植木畑を何カ所も見に行って木を選び、どちら向きに植えるかも現地で打ち合わせをして決めました。散策路のような豊かな緑のアプローチは、夜、ライトアップされるとまた違った表情を見せてくれます。
アプローチ空間と並ぶもう一つの見どころが、エントランスと共用部分を収めたガラス壁です。
アプローチの手前からマンションの1階を見ると、ガラス越しに正面奥までエントランス空間が続いています。そして、ガラスの壁は左手に延び、壁の向こうにもまた豊かな緑が垣間見えます。この横長のガラス壁の奧にはメールボックスや、中庭に面した共用廊下が収まっています。
ガラス壁は外と内を仕切る緩衝地帯の役目を果たすだけでなく、庇(ひさし)を設けることで、車寄せの機能も兼ねています。駐車場へ向かう車が庇の前で停車すれば、降りた人が雨に濡れずにエントランスに入ることができるという仕掛けです。
ガラスの奧には1階住戸の玄関やメールボックスなどがありますが、造園会社が共用廊下沿いに植えてくださった多種多様な樹木のおかげで、外からの視線が気にならないだけでなく、中庭の緑を眺めながら奧のエレベーターに至ることができ、より開放感が出せたのではないかと思います。
アプローチと連続するエントランスホールは、右手前に地窓を配し、ラウンジの奧にテラスを設けることによって、限られた面積を感じさせない広がりを演出しています。
全面開口越しに見えるテラスの緑は、外のアプローチからも一直線に見通せ、切り取った風景画のような眺めを楽しむことができます。
次に、専有部では今回、7階以上の住戸を対象に、収納のセレクトを用意しました。これは、靴箱やトイレの吊り戸棚など4カ所の収納について、内部の仕切り方にバリエーションを設け、無償で選べるようにしたものです。
たとえば、玄関収納は若いファミリー層を想定し、標準ではベビーカー置き場兼コート掛けを設けたトールタイプを採用していますが、ベビーカーはしまわないし、もっと飾るスペースがほしいという方向けに、飾り棚を設けたニッチタイプも用意しました。
マンションの設計というと、とかく外観や共用部に目が行きがちですが、お客様が長く過ごすのは各住戸の内部ですから、これからも建物の外から内まで全力を傾け、美しさと住みやすさを兼ね備えたデザインを心がけたいと思っています。
写真 : 新 良太
※掲載の情報は、2018年8月時点の情報です
※こちらの物件は完売いたしました。
インタビュー
野村不動産 住宅事業本部事業推進一部推進二課 山田かおり
ゼネコンから転職し、これまで10年以上、お住まいになる方の好みやライフスタイルに合わせて間取りを変更する「オーダーメイドマンション」の設計を担当していました。長くインテリアデザインに専念していたため、3年前に異動した当初は戸惑うことばかりで大変でしたが、やはり建築全体に関わる今の仕事は、やり甲斐があって楽しいです。お客様とじっくり対話しながら細部まで丁寧にデザインするという自分の強みを生かし、今後は大規模なプロジェクトにも携わってみたいです。