南阿佐ヶ谷駅から徒歩1分、阿佐ヶ谷のメインストリートである中杉通りと青梅街道の交差点に誕生した「プラウド南阿佐ヶ谷」。都市にふさわしい新しいランドマークとしてのデザインと、邸宅としての佇まいを両立させた建築の見どころを担当者が語ります。
敷地は地下鉄丸ノ内線の南阿佐ヶ谷駅から徒歩1分、南阿佐ヶ谷駅とJR阿佐ヶ谷駅を結ぶ中杉通りと青梅街道の交差点にあります。近くには区役所をはじめとする公共施設が集中する杉並区の中心地ですが、南側は低層住宅街が広がる好立地でもあるので、都市的な利便性と邸宅としての佇まいを併せ持つレジデンスを目指しました。
杉並区内にはすでに何棟ものプラウドがあり、緑豊かな住宅街に馴染むアースカラーを基調にした建物が多いのですが、「プラウド南阿佐ヶ谷」は駅近の敷地に建つため、南阿佐ヶ谷という街が持つ「都市としての顔」と「住宅地としての顔」の二つを同時に体現するような建築にしたいと考えました。そこで、白を基調とし、特に表通りに面した北側はあえて住宅らしさを感じさせぬよう、開口部を最小限にし、光沢感のあるタイル、スリット状の窓、空を映す反射ガラスの手すりなどによって、都市的な表情をつくっています。
一方、住戸のバルコニーが並ぶ南側は、床の水平ラインを1層おきに白と黒に塗り分け、かつ垂直ラインの部材であるマリオンも白にすることで、白いグリッドを強調しました。11階以上の上層階は天井高2.75mを確保した特別フロアということもあり、手すりには熱線反射ガラスを用いて、住戸からは眺めが享受できる一方、外から見ると空がより映り込むようなプレミアム感を演出しています。
建築の足元の基壇部には、中杉通りから見たときのアイストップになるよう、存在感のあるルーバーを設置しました。中杉通りのケヤキ並木をイメージしたデザインで、軽量化を図るため、アルミを用いています。
マンションの1階には以前ここにあった建物に入っていたコンビニエンスストアが入居していますが、住宅用と店舗用の二つの入口のデザインを揃えることで、建物に統一感を持たせています。
マンションの入口は駅前の喧噪から一拍おいて落ち着いた雰囲気をつくりたいと考え、入口を奥に引き込み、手前に長さ7.5mの奥行きのある半屋外のアプローチを設けました。アプローチを進むと奥にインターホンのある風除室があり、ここを経由して右手にあるエントランスホールに至ります。
エントランスから一歩内部に入るとまず正面に、敷地の南に流れる善福寺川をイメージしたガラスのオブジェがあり(写真左手前)、高さ4.5m、奥行き13.5mの2層吹き抜けのホールが広がります。ホールは細長い空間ですが、先ほど通ってきたアプローチや風除室と、ガラスを介してつながっているので、開放感があります。突き当たりの壁には壁面緑化、吹き抜けに面した壁面の上部には木目調のルーバーを配し、中杉通りの木立のイメージを室内にも取り入れました。壁面緑化の緑は天井に貼った鏡状のパネルの効果で、さらに空間の伸びやかさが増しています。
奥のラウンジコーナーから入口側を見返すと、反対側の壁にも対をなすように、壁面緑化が施されています。手前のステージには杉並区の緑をイメージしたアートを配し、ホールに彩りを与えています。
各階のエレベーターホールにも、水や木立、空や風などをイメージした石膏のアートパネルを設置しました。フロアごとに色やデザインが異なり、下から青、緑、黄色、オレンジ、赤、紫とグラデーションを成しており、自分の家に帰ってきたサインとしても機能するようにしています。
住戸のプランについては、駅近の利便性に価値を感じていただける単身者層を想定し、ワンフロアにつき1LDKを2戸設けました。1LDKも投資目的ではなくオーナーが実際にお住まいになることを想定し、内装や水回り設備などの仕様をすべて2LDKや3LDKと揃えています。
思えば、南阿佐ヶ谷駅前の新しいランドマークにふさわしいのはどんな建築か、ということを常に意識しながら携わってきたのが、このプロジェクトでした。マンションの住人だけでなく、近隣にお住まいの皆さんにも、南阿佐ヶ谷のシンボルとして馴染んでいただける存在になればと思っています。
※掲載の情報は、2021年1月時点の情報です
※こちらの物件は完売いたしました。
インタビュー
野村不動産 住宅事業本部事業推進二部推進三課 古堅 聡
「プラウド南阿佐ヶ谷」は7年間の仙台支店勤務から戻って最初に手がけた物件です。施工は名古屋を本拠とする施工会社に依頼しましたが、職人魂を持った関係者が多く、ディテールまで追求して完成度の高い仕事をしてくださいました。また、デザインや基壇部のルーバーの施工など、多くの工程を今までの仕事でお世話になった方々に依頼しました。おかげで事業が非常にスムーズに進み、出会いの大切さを痛感したものです。これまでの社会人生活の中で出会った方々には「ものづくり」に対するこだわりを教わってきました。今後はそうした建築に対する想いを後輩にも伝えていきたいです。