千駄木駅から徒歩4分でありながら、南傾斜の高台に建ち、表通りの喧噪から距離を置く「プラウド文京千駄木ヒルトップ」。古き良き街の風情に馴染む、木と石の対比をテーマにしたマンションの魅力を担当者が語ります。
千駄木はかつて文人が愛した街として知られ、都心とは思えぬほど時間がゆったり流れる地域。その一角にある「プラウド文京千駄木ヒルトップ」は駅近でありながら南傾斜の高台にあり、かつ表通りの喧噪から距離を置いた稀有な環境にあります。街の風情に馴染む建築にしたいという思いもあり、温かみを感じる「木」と大地の偉大さを象徴する「石」をコンセプトにしたデザインを目指しました。
敷地は大きな旗竿地(はたざおち)のような変形地で、都道に面した北に長い竿の部分が延び、奧の南側に旗の部分が広がっています。一部、東側も通りに面しており、通り沿いの隣地に建つのは、風合いのある壁が特徴的な森鴎外記念館です。この美しい壁に倣って、連続性が感じられる外観にしたいと考えました。
そこで、石と木のイメージを重ね合わせ、水平を強調した横ラインの部分を、森鴎外記念館の壁面を模したタイル貼りとする一方、縦ラインの壁面には木調の塗装を施しました。
旗竿状の敷地に沿って北側のメインストリートから長いアプローチが延び、その奧に建物が垣間見えるさまは、邸宅としての品格を醸し出しています。東側の通りは通学路でもあることから出入口は設けておらず、人も車もこちらから出入りするため、右手に車路、左手に歩道を配置。車用のゲートは将来のメンテナンス用車両の通行なども想定し、高さ約3.5mを確保しました。歩道の屋根と高低差があるため、より奥行き感が強調されています。
ゲートの柱にも森鴎外記念館の外壁の雰囲気を取り込みました。近づくと、風合いのあるタイルの表情がおわかりいただけると思います。通常のタイル施工時には、目地材を全面に塗った後、表面を洗うのですが、その洗い具合を調整しながら、あえて目地材を少し残すことで、時を経たような味わいを出しています。
長い歩道も、木と石のイメージを踏襲しています。左手の壁面は木調のタイル、床はグレーのタイル貼りで、右手の列柱の足元には黒い砂利を敷きました。歩道の縁の随所に見える石は、敷地に残っていたものの再利用で、加工して床に埋め込んでいます。
歩道と車道の間は、列柱と植栽を対比させ、ほどよく仕切りました。
エントランスホールは最高天井高さ約3.4mの開放的な空間です。ここでも、デザインコンセプトである木と石の対比が貫かれています。
まず風除室から一歩入ると、正面に凹凸のあるオーク無垢材を張った壁が見えます。手前には石のオブジェを配しました。石材場で石を吟味し、実際にその場で職人さんに重機で重たい石を動かしてもらいながら、配置を決めました。照明も石にどう当たるかを現場で詳細に検討したうえで、位置を決めています。
木と石の壁の左手には全面開口があり、その手前がラウンジになっています。空間のイメージに合わせて無垢の木の名作家具を選びました。左手のスリット状の壁面の奥には床置き型のエアコンが納まっています。天井をすっきり美しく見せるための工夫です。
大開口の外には、プライバシーが守られた坪庭のような空間をつくりました。背後に生け垣を設け、シンボルツリーとしてモミジを植えています。
2カ所あるエレベーターホールの階数表示のデザインにも気を配りました。入口に近いエレベーターの階数表示は、数字をかたどったアルミ板を壁から垂直に出し、照明の影が壁に階数を映し出す仕掛けです。もう一方は、木製アートを縦に並べ、その個数で階数を示しています。
各住戸には最大奥行き約3mのインナーバルコニーを設けました。開口部にはフラットサッシを採用しており、バルコニーにデッキを敷くと室内の床とフラットにつながるので、より室内の広がりが感じられます。
設備面では、床空調システムを利用し、24時間365日、室内のすみずみまで換気しながら住戸全体を快適な温度に保つ、当社の新しいシステム「床快full(ゆかいふる)」を初めて導入しました。また、マンション向けのIoTサービスである「rimoco(リモコ)」も採用しており、外出先からスマートフォンでお風呂のお湯張りやエアコンのオンオフ、閉め忘れた鍵の施錠などが行えます。
この界隈には街の景観に関心が深い住民の方々が多く、工事中に足場がはずれて外観が見えるようになると、マンションの口コミ掲示板サイトに、契約者以外の皆さんからもたくさん写真が投稿されていました。今後、年月を経るごとに、お住まいの方々だけでなく、近隣の皆さんにも愛される建物になってくれれば幸いです。
※掲載の情報は、2021年6月時点の情報です
※こちらの物件は完売いたしました。
インタビュー
野村不動産 住宅事業本部 事業推進一部 推進二課 山下りえ
今回、最も大変だったのは、外壁タイルの施工です。メーカーと試作を繰り返したものの、新しいタイルではなかなか森鴎外記念館の壁のような風合いが出せず、最後は現場で職人さんと相談しながら、どの程度目地材を洗い落とすか、こちらが目指すレベルを感覚的につかんでいただきました。外壁タイルだけにとどまらず、あらゆるディテールは工事に関わった大勢の皆さんの技術と努力の賜物です。今後も机上で考えるだけでなく、現場に足を運び、さまざまな関係者と密に話し合うことで、よりよいものをつくっていきたいと思っています。