港町・横浜の趣を感じさせる海岸通り沿いに誕生した「プラウド馬車道」。周辺の歴史的な建造物との調和を図りながら、これから新しい横浜の中心地として発展していくこのエリアにふさわしい先進的なデザインを追求しました。海の煌めきや揺らぎのイメージを盛り込むなど、繊細なディテールにこだわった建築の見どころを担当者が語ります。
「プラウド馬車道」の敷地は、みなとみらい線の馬車道駅から徒歩4分の海岸通り沿いにあります。周辺には歴史的建造物が点在し、みなとみらい地区、関内、山下公園、中華街など、観光地や商業地区にも徒歩圏内でありながら、賑わう通りから少し外れているため、落ち着きをたたえた好ロケーション。三方が道路に面しているうえ、向かいにある神奈川県警察本部庁舎が海岸通りから大きく後退して建っているため、広がりが感じられます。
この地にふさわしい建物を計画するにあたり、周辺の歴史的な街並みに調和するだけにとどまらず、これからも発展していく新しい港町・横浜の姿を体現するようなデザインを追求すべきだと考えました。
横浜市は地域地区の指定や条例の制定を行って、都心部の景観をコントロールし、商業施設と住宅のバランスを保ちつつ、街の賑わいの創出を図っています。「プラウド馬車道」もそうした「横浜都心機能誘導地区」に建つことから、低層部に事務所・店舗用途のスペースを設け、街並みに合った質の高い建築をデザインするなど、条例や高度地区の制限と連動した許可基準を満たすことで、建物の高さや容積率の緩和の認可を受けることができました。
外観は街の賑わいに寄与すべく、いい意味で「住宅らしくないデザイン」を目指しました。1〜3階の基壇部は一般的なマンションより階高が高いので、そのスケール感を生かし、石や金物を用いて重厚感を演出しています。
一方、4〜12階は、構造上のグリッドを活かしながらガラス面を引き立てることによって、上に行くほど存在感を消し、空に溶け込むようなデザインを心がけました。バルコニーは最小限にとどめ、インナーバルコニーを基本としています。
また、建物が交差点の角にあることから、コーナー部のデザインにもこだわり、印象的な表情を加えました。
基壇部で目を引くのが、ロートアイアン調のスクリーンです。店舗入口上、北西側のコーナー部、住宅入口上の3カ所に設置しました。クラシカルなイメージの素材を用いつつ、モダンさを兼ね備えたデザインによって、建築に個性を加えています。住宅の入口前に見える紅い花は街路樹の寒緋桜(カンヒザクラ)です。
ルーバー部分には、大きさの異なる丸い穴がランダムに開いています。海に近い立地であることから、海面から上がる気泡をイメージしました。スクリーンは内と外を緩やかにつなぐ役目も果たし、内部の事務所スペースには無数の穴を通じて柔らかな光が降り注ぎます。
海をモチーフにした意匠は他にも随所にちりばめられています。写真は住宅の入口で、ドアの両サイドに波のような模様が見えますが、これも海面のイメージをエッチング加工によって施したデザインガラス。夜になると内部の照明に照らされ、いっそう鮮やかに浮かび上がります。
住宅のエントランスホールは天井高約3.3mのスケールを生かした、重厚で上質な空間です。奥のエレベーターホールとの間にあるオートドアの袖壁にも、外部と同様に、海の気泡をイメージしたロートアイアン調のスクリーンをあしらいました。
エントランスホールの両側の壁面は屛風のようにジグザグ状の形状をしており、谷折り部分にあたる青緑色を帯びたガラス部分にも、海面の気泡をイメージした模様をエッチングで施しました。
写真の左手前に見えるのが気泡が刻まれた壁面のデザインガラス、右奥がエントランスドアのデザインガラスのクローズアップです。
共用ラウンジは3階に配しました。南西側のコーナー部にあり、明るく開放的なスペースです。キーシステムによる予約が可能で、応接室としても利用できます。
各住戸のプランは、中層部はコンパクトな1LDK中心、上層部はゆとりある3LDKが中心ですが、フロアごとに部屋割りを細かく調整することで、総戸数44戸に対し、15タイプの幅広いバリエーションを用意。リビングダイニングの天井高は4〜8階が約2.7m、9階以上は約2.8mを確保しました。また、バルコニーを最小限にとどめたことによって、大きな開口部のある住戸が多く、より横浜の街の雰囲気が感じられるのではないかと思います。
お住まいの皆様にここでしか味わえない港町・横浜での暮らしを満喫していただくと同時に、この建築が街の賑わいに長く貢献していくことを願います。
プラウド馬車道
※こちらの物件は完売しました
※掲載の情報は、2023年1月時点の情報です
インタビュー
野村不動産 住宅事業本部神奈川事業推進部推進一課 黒田 豊
「プラウド馬車道」の工事が始まり、モデルルームの開設を準備していた頃は、ちょうど新型コロナウイルスの感染者数が初めて急増した、いわゆる「第一波」の最中でした。建築とはものづくりなので、内外装の仕上げやモデルルームの家具の選定など、リモートでの打ち合わせでは成立しないことが多々あり、困難の連続でした。しかし、コロナ禍でも関係者の皆さんと一丸となって、妥協せず、こだわり抜いた結果、お客様に満足いただける建物をつくり上げることができたと思います。それだけに、内覧会でお客様のご満足そうな様子を拝見したときは、感慨深かったです。これからも、お住まいになるお一人お一人が楽しく暮らしていけるような住宅をつくり続けていければと思っています。