豊かな自然を残しつつ再生されたまち「多摩平の森」の一角に誕生した「プラウドシティ豊田多摩平の森」。官民が一体となって緑の保全に取り組んできたまちづくりの思想を継承し、周辺の森の借景や、敷地内に残る豊富な樹木を最大限に生かしたい──その一心から計画がスタートしました。担当者がプロジェクトに込めた想いを動画で語ります。
「プラウドシティ豊田多摩平の森」の魅力は、周辺の森とのつながりや豊富な緑量を誇る中庭との一体感ばかりではありません。検討を重ねて練り上げた配棟計画、外観デザイン、木造+鉄筋コンクリートのハイブリッド構造による独立共用棟など、多岐にわたる建築の見どころを担当者がさらに解説します。
「プラウドシティ豊田多摩平の森」の敷地は中央線・豊田駅から歩いて9〜11分の丘の上にあります。駅との高低差は約18mありますが、北口から階段を上った後はフラットな道のりで、南東側には帯状に続く黒川清流公園の豊かな森が面するという稀有な環境です。
一方、敷地内には、高さ15mを超える既存の高木が豊富に残っています。ここはもともと1950年代に建てられた低層のテラスハウス群があった「多摩平団地」の跡地。すでにUR都市機構による高層マンションへの建て替えが完了している周辺のエリア一帯も、日野市・UR都市機構・住民の三者が地域の緑を残すために長い時間をかけて協議を重ね、全体を散策路でつなぐ取り組みを行ってきました。
そうしたまちづくりの思想を受け継ぎ、周辺の緑を取り込むと同時に、敷地内の既存樹をできるだけ残して、全体を散策路でつなぎたいと考え、当初の配棟計画を全面的に見直しました。棟数を減らして高層化して南東側に集約させた結果、残せる樹木の本数が増え、近隣の皆さんも自由に往来できる散策路と広い中庭を確保することができたのです。また、平置きの駐車場をメインにすることで、空の広がりを遮るものを極力抑えています。
南東側に6棟中3棟を配したことによって、黒川清流公園の緑ある眺望を享受できる住戸を増やすことができました。外観は緑が映え、街並みに調和する色彩を検討し、モノトーンを基調にしています。また、バルコニーの凹凸により、陰影による表情をつけながら分節し、大きな壁面のボリュームが周辺にもたらす圧迫感を軽減するなど、細部のデザインにもこだわりました。
南東側の住戸は、バルコニーの手すりのディテールにもひと工夫を凝らしました。手すりにさまざまなルーバー材を配していますが、これは黒川清流公園の空気を取り込むようなデザインをめざしたいと考えたからです。
敷地全体のメインの入口は南西側にあり、ここから入ってA棟とB棟の間に設けた散策路を奥へ進んでいくと、中庭に通じます。建物外観は中央と両脇の部分とでデザインを切り替え、マリオンのデザインに変化を持たせることで、アプローチへといざなうゲートのような構えを演出しています。
敷地内には既存樹だけでなく、その間に配する中高木を100本以上、新たに植えました。いずれも各地の山々に足を運んで選んだものです。最も緑が密集しているのがA棟とB棟の間を抜けたあたりです。いったん緑蔭の深さを感じた後に、次第に視界が明るくなっていき、やがて開放感あふれる芝生空間に到達する──そうしたシークエンスをお楽しみいただければと思います。
芝生広場の奥には、独立共用棟「ティンバーハウス」があります。プラウドシティにはこれまでも木造の独立共用棟を設けた例がいくつかありますが、今回は木造と鉄筋コンクリートのハイブリッド構造を採用しました。それによって、内部に柱のないフレキシブルな大空間をつくることができ、より内と外の一体感が感じられる開放的な建築を実現しています。
内部は木をふんだんに用いた空間です。構造材はすべて国産の杉の集成材を使用しました。
キッチン設備も備えており、スペースを半分に仕切って料理教室を開催するなど、多様な使い方ができます。
この他、キッズスタジオや、テレワークに活用できる予約制の個室ブース、アウトドア用品などを備えたシェアストレージまで、便利な機能が揃っています。
中庭の一角にはピザ窯を備えたコーナーも設けました。共用棟のシェアグッズを活用して、バーベキューやピザ焼き体験が楽しめます。
各棟の1階には個性の異なるラウンジを用意しました。マンションにお住まいの方は、4つのラウンジすべてを使うことができます。
たとえば、A棟のラウンジはドッグランに面しています。A棟は唯一、中型犬が飼育可能で、ドッグランで走り回る愛犬の姿を眺めながらくつろぐことも可能です。
一方、B棟のラウンジは手元照明やコンセント付きの共用のテーブルを完備。個室ブースよりはオープンなワークスペースで、緑を眺めながら仕事や勉強をすることもできます。
以上のように、多様な見どころのある「プラウドシティ豊田多摩平の森」ですが、やはり既存樹と共存する深い緑を体験できる点が、通常のマンションにはない最大の魅力であり、それを生かしきることができたと自負しています。今後はこのまちのシンボルとして、多くの方に敷地内の豊かな自然を満喫していただければ幸いです。
プラウドシティ豊田多摩平の森
JR中央線始発・中央特快停車駅 × 南東向き・70平米超中心 × 全637邸大規模レジデンス
※掲載の情報は、2023年8月時点の情報です
※掲載の敷地配置イラストは、計画段階の図面を基に描き起こしたもので実際とは異なります。植栽は特定の季節の状況を示すものではありません。竣工時に完成予想図程度には成長していません。樹種は一部変更になる場合があります。周辺は空撮、地形図等を参照し、概念的に描き起こしたもので、位置関係、距離、形状、方角等は実際とは異なります。周辺建物等は省略し道路は簡略化しております。また、周辺環境は将来に渡って保証されるものではありません。
インタビュー
野村不動産 住宅事業本部事業推進三部推進二課 多和田 智希
このプロジェクトにおいて、配棟計画を全面的に見直したと述べましたが、実は独立共用棟も初めの計画からは大きく変更しています。当初は周辺に公共施設や商業施設が整備されているため、共用棟内もそれほど広くありませんでしたが、コロナ禍という大きな転換点によって、時代に合わせて見直すべきと判断し、再考したからです。結果的にひと回り大きく、かつ中身も充実した共用スペースを生み出すことができました。ピザ窯やキャンプ用品のシェアサービスなど、他にも多彩な仕掛けをご用意しましたので、お子さんだけでなく大人の皆さんにも、ここでしか味わえない「外」を楽しむ暮らしを再発見していただければと願っています。