複合開発の一環として計画されたことから、山手線の目黒駅から徒歩圏内でありながら、広大な緑地帯に囲まれたタワーマンション「プラウドタワー目黒MARC」。柔らかな曲線を描いた独特の外観と相まって「都市のゆとり」を感じさせます。居住者専用の共用施設だけでなく、街のさまざまな人々が活用できるシェアスペースを内包するなど、数多くの建築の見どころを担当者が語ります。
「プラウドタワー目黒MARC」は、JR東日本グループと野村不動産グループが共創してつくり上げた新しいまち「MEGURO MARC」の中に誕生した分譲マンションです。計2.0ha (※1)の広大なエリア内にはこのタワーマンション以外に、オフィス棟と賃貸マンション棟が建ち、これら計3棟を取り巻くように多様な緑地帯が配置されています。三つの敷地を一体的に活用することで、マンションの敷地内における空地(建物が建っていない土地)の比率は約82%(※2)を確保。山手線の駅から徒歩圏内で、これだけのゆとりがあるマンションは珍しいといえるでしょう。
32階建ての分譲マンション棟は3棟の中で最も高いこともあって、街のランドマークとなるような外観デザインを目指しました。特徴的なのは、全周に巡らせた「ラウンドバルコニー」です。四隅を曲線的にデザインすることで、都心の空に優美なラインを描く、象徴的なタワーフォルムを実現しています。
ラウンドバルコニーはあらかじめ工場でつくるPCコンクリートを採用しており、厚みはわずか18㎝です。高い技術力に支えられたこの薄さが、遠くから見ても近くから見ても美しい、洗練されたデザインにつながっています。
目黒駅からアクセスすると、まず入口の手前に奥行き約66mのロングアプローチが出現します。緑豊かで懐の深いアプローチは、都心の喧噪から離れ、プライベートな空間へとシフトする緩衝地帯の役目を果たしています。
エントランスは301戸超という大規模マンションにふさわしい構えを表現すべく、石を多用しました。左手のベージュの壁はサモアという御影石張りで、「斑(ふ)」と呼ばれる石目模様を合わせ、全体が大きなひとかたまりの岩に見えるよう、気を配りました。濃いグレーの部分はアンゴラブラックという御影石で、重厚感を出しつつも主張を抑えたマットな仕上げにしています。
エントランスホールは2層吹き抜けのダイナミックな空間で、外観のフォルムを踏襲して曲線を採り入れたデザインで統一しています。アールを描いたフラットな天井や壁は、背後の設備配管などを隠すための目隠しの役目も果たしています。
2階のラウンジは広さ300㎡超で、かつ天井高も3m以上ある、ゆとりの大空間です。梁や設備などで天井に下がった部分が生じないよう、空間デザインに配慮しました。
ラウンジの一角には、ガラスの壁で仕切られたスタディコーナーがあります。さらに、ラウンジの隣には、さまざまなマシンが置かれたフィットネスのためのスペースも完備しています。
20階には「スカイラウンジ」と「ゲストルーム」も用意しました。スカイラウンジは目黒川の桜が見下ろせる眺めのよいスペースで、貸し切りでホームパーティーなどが楽しめます。
「MEGURO MARC」が用途の異なる3棟から成る複合開発であることから、「プラウドタワー目黒MARC」の敷地内や建物内には、居住者専用の共用空間だけでなく、広く街区で働く人や住まう人に開かれた多目的な場を設けました。
その一つが3棟に囲まれた、街区の中心にある中庭「MEGURO MARC ガーデン」です。ここにはカツラの木を列植し、その木々を囲むように円形のガーデンファニチャーを配しました。4段階の高さの異なるタイプがあり、テーブルやベンチ、スタンドとして幅広い年代がさまざまな用途に利用できます。ちなみに、この家具は多摩産材や国産材の活用を推進する東京都の「木の街並み創出事業」の補助金を受けて製作したものです。
建物の1階には、会員制の多様なシェア空間があります(有償)。中庭に面した「スタジオ」はキッチンを備えたスペース。壁の一部は鏡貼りで、さらにカーテンで仕切ることもできるので、料理教室やヨガ教室、セミナーなど、幅広い用途に使えます。
また、こちらの「ホール」も会員専用のシェアラウンジです。曲面を描いたヴォールト天井に包まれた落ち着きのある空間で、ゆったりしたひとときが過ごせます。
建物の中央にエレベーターや廊下などの共用部をまとめたロの字型配棟に加え、四周にバルコニーを巡らせたことにより、住戸の大半が、バルコニーに面した明るく眺めのよいプランを実現しているのも、このマンションの特長の一つです。
建物の完成から約2カ月後には、「プラウドタワー目黒MARC」や賃貸マンションの住人、オフィスワーカーなど、街の大勢の皆さんが集まって、「まちびらき」のイベントが開催されました。今後、この新しいまちが活性化し、発展していくことを願っています。
※掲載の情報は、2024年3月時点の情報です
※こちらの物件は完売いたしました。
※1:総開発面積約2.0haはオフィス棟(約7,786㎡)・賃貸住宅棟(約 3,853㎡)・分譲住宅棟(約7,711㎡)の敷地面積と公園施設(約800㎡)を合わせた面積です。公園(予定)は都市計画公園となり、品川区に帰属いたします。
※2:マンション空地率約82%とは、分譲住宅棟「プラウドタワー目黒MARC」敷地内の建ぺい率約17.6%を100%から引いた数値。
インタビュー
野村不動産 住宅事業本部事業推進一部推進三課 沼 大継
3棟の設計・施工はそれぞれ別の会社が担当しましたが、事前に話し合い、共通のカラーリングをベースにデザインしています。工事が終わって仮囲いが取れ、中庭でつながった3棟の全貌が見えたとき、街としての一体感が感じられて安堵しました。通常の分譲マンションは、完成後はディベロッパーの手を離れてしまいますが、このマンションは複合開発ということもあり、販売後も野村不動産グループがコミュニティづくりをお手伝いするエリアマネジメントのしくみを採り入れています。街との連続性を持たせた建築、人が集まりやすい中庭やシェアスペースが、これからコミュニティ醸成の苗床として役立ってくれれば幸いです。