マンション内でありながら7,000 冊もの蔵書を実現した
「プラウドシティ大田六郷」のライブラリー。
魅力的な蔵書を生み、居住者とともに成長し続けるための新しいシェアのカタチをご紹介します。
理想のライブラリーを一過性のもので終わらせず、長きにわたって出会いの連鎖をつなげていくために重要なのが、入居後からの管理やメンテナンスです。なかでも、「ずっと読まれるライブラリー」の実現には、本棚の内容を更新していくための新しい蔵書の確保が不可欠でした。
そこで大田六郷のライブラリーでは、野村不動産とブックオフオンライン、青山ブックセンターの協働で、無理なく続けられる独自のシステムを構築。定期的に入れ替える本をブックオフオンラインが買い取り、その資金で新たな本を購入するという新しいリユースの仕組みを導入し、ライブラリー内に新たな本との出会いと発見をもたらします。
さらに、貸出履歴や利用者からのリクエストを新たな蔵書に反映させ、常に利用したくなる生きた本棚を実現。居住者のライフスタイルとともに変化し、10年、20年と愛されるライブラリーを目指しています。
常に循環する生きた本棚を維持するための、新しいリユースシステムがこちらです。
住民のコスト
毎月1世帯90円を負担。マンション全体で月額約6万円を、メンテナンス費や新しい本の購入費にあてる。
定期的に入荷
雑誌は毎月20誌を2回に分けて入荷。書籍は3ヵ月に1回新しいものが30〜40冊入荷。メンテナンス時に新刊コーナーが入れ替わる。
セルフ貸出システム
PCによる既存の貸出アプリを活用。実質ランニングコストはゼロ。貸出履歴もデータで管理。
読まなくなった本を回収
ライブラリー内の蔵書のほか、居住者が不要になった本を回収。※実施予定
買い取り
ブックオフオンラインが買い取り、新しい蔵書の購入費にあてる。※実施予定
新しい蔵書へ
青山ブックセンターによる選書で、新しい本が増えていく。
蔵書約7000冊から始まったライブラリーは、10000冊を目指し成長していく予定です。そんなライブラリーの今をサポートする三社の担当者に、リユースシステムのこれからについて伺いました。
志村 亨
ブックオフオンライン株式会社
マーケティング部 法人営業グループ長 兼 営業推進チーム長
大田六郷ライブラリーの構想から携わり、リユースを導入した持続可能なシステムを開発。
米山 淳一
ブックオフコーポレーション株式会社
青山ブックセンター 外商
初期の蔵書の選書やライブラリー内のレイアウトのほか、入居後のランニング業務を取り仕切る。
東上床 隆司
野村不動産パートナーズ
マンション第一事業本部 東京支店 課長代理
大田六郷マンション全体の管理、サポート業務を担う。ライブラリーに関する居住者からの要望を、2社に橋渡しする役割も。
志村:はい。ひとつが、ライブラリー内の読まなくなった本を買い取るリユースで、2年後の実施を予定しています。 そしてもうひとつが、専有部を対象とする回収です。入居されて時が経つにつれ、632世帯のご自宅内で不要になる本も出てきますから、それをブックオフが買い取り、現金化して新しい蔵書の資金に当てようという取り組みも検討しています。
米山:現在は3ヵ月に一度、30〜40冊の新刊を青山ブックセンターが選書して納品していますが、蔵書を確保する資金が増えることで、ご利用者のリクエストやトレンドが組み込みやすくなり、より生きた本棚になっていくと思います。
東上床:管理組合の理事会でも、「回収した本で購入する本は、どのように選ぶのか」など、少しずつ話し合われていまして、具体的にどのように導入されていくのか、居住者の皆さんも関心をお持ちのようです。
志村:このリユースの仕組みは居住者の方の参加が不可欠ですから、皆さんの意思で寄付いただいた本をライブラリーに活かすことで、自分たちでつくり上げているという意識が高まるのではないでしょうか。
東上床:そのひとつの表れとして、本の取り扱いマナーに関しても理事会で話し合われています。具体的なことはこれからですが、「イベントを行ってはどうか」というご意見も出ていまして、本やライブラリーを大切にしたいという想いが伝わってきます。
志村:素晴らしいですね。「共用のものだからこそ大切にしよう」というマナーのほかに、「きれいに使えばきちんと買い取ってもらえ、それが自分たちの新しい本に生まれ変わる」という、蔵書が資産であることまでお伝えしたいですね。
東上床:買い取りとは別の形になりますが、「自宅内にある本をライブラリーに寄贈できないか」といったご意見もあり、先日米山さんにご相談させていただきました。
米山:マンションライブラリーを数多く手掛けてきましたが、初めていただくご意見で、本が本当にお好きで、ライブラリーにも愛着を持っていらっしゃる、と感じました。
実現するためには多くの課題がありますので、ライブラリー内の1箇所に居住者様ご提供の蔵書コーナーを設けるなど、私からも可能性を広げるご提案をしていきたいと思っています。
志村:それもリユースのひとつですね。実際に動き出すと想定外のことが起こって面白い。本格的に回収・買い取りが始まるのが楽しみです。
米山:世の中的にも社会貢献はしたいけど、実際にはそのサイクルにどう入ればいいかわからない、と感じている人が多い中、こちらでは住みながら本を読み、ライブラリーで楽しく過ごすことで、知らず知らずのうちに、その歯車の中に入っていける。社会的にも求められていた“場”なのではないでしょうか。
志村:そうですね。このプロジェクトのサスティナブルな仕組みが、今回グッドデザイン賞受賞につながったわけですし、無理なく社会貢献できる環境を築き、居住者の皆さんと一緒に常に利用したくなる魅力的な蔵書を増やしていきたい。それが、私たちの使命だと思っています。
東上床:ライブラリーは居住者、皆さんのものですから、管理組合を通して皆さんのご意見をおつなぎできるように、しっかりとサポートし連携していきたいと思っています。
入居時には好評であったライブラリーも、時が経つにつれ利用される頻度が減る、といったケースが見られる中、大田六郷では、持続可能なライブラリーシステムを構築し、愛される続けるライブラリーを目指しました。そして現在、ライブラリーは、新しい知と出会い、本が人と人をつなぐコミュニティとして、また、社会貢献に参加できる場として、居住者の暮らしになくてはならない存在になっているようです。
グッドデザイン賞は、さまざまに展開される事象の中から「よいデザイン」を選び、顕彰することを通じ、私たちの暮らし、産業、そして社会全体を、より豊かなものへと導くことを目的とした公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「総合的なデザインの推奨制度」です。グッドデザイン賞を受賞したデザインには「Gマーク」をつけることが認められます。「Gマーク」は創設以来半世紀以上にわたり、「よいデザイン」の指標として、その役割を果たし続けています。
※掲載の情報は、2024年3月時点の情報です