グッドデザイン賞受賞レポート“木”にこだわった共用棟は、
なぜこんなに居心地がいいのだろう
〜プラウドシティ伊丹〜

2018年に竣工した「プラウドシティ伊丹」の中心に位置する「ガーデンテラス棟」に足を踏み入れると、今も木の香りが漂います。構造から仕上げまでを木にこだわった共用棟は、プラウドの分譲マンションでは初めての試み。447戸のコミュニケーションの核として、木造の共用棟が実現した“居心地の良さ”の秘密を探ります。

1 コミュニケーションの中心に、木造の共用棟を

学校帰りに立ち寄る子ども、
お茶を飲みながら寛ぐ大人

午前中の「ガーデンテラス棟」は、入園前のこどもたちの声と、コーヒーの香りに満たされます。キッズルームで遊ぶ様子を見守りながらのおしゃべりに花が咲く頃になると、そろそろランドリーに入れておいた布団も乾燥しているはず。

カフェからはランチメニューの匂いが漂いはじめ、時計の針が15時を回ると、下校してきた小学生たちがその日一番の賑わいをもたらします。ソファにランドセルを置いて、友だちと遊び始める男子生徒や、窓際のカウンターで読書を始める女子生徒。思い思いの放課後が過ぎて行きます。
高さ約7メートルの大開口部の外が暗くなり始めると、会社帰りのひとときを木の香りの中で過ごす姿が目立ち始め、静まりかえった夕食後の建物内には、本をめくるかすかな音が響き、ひとりパソコンに向かう姿もちらほらと。

東西に長い「プラウドシティ伊丹」の敷地には、ゆるやかなコの字型に住居棟が建ち並び、その中ほどに独立して「ガーデンテラス棟」が建っています。扉を開けると、竣工から2年を経た今も爽やかな木の香りが漂い、片流れの屋根がつくりだす高天井の大開口部からは、植栽の緑とともに明るい採光が室内を満たしています。

床や壁はもちろん、柱も梁も天井も、外装の軒裏までも、すべてを木にこだわって建てられた内部には、キッズスペースと窓際のソファがゆるやかに配置されているだけで、用途別の小部屋や仕切りはありません。布団も洗える大型ランドリースペースと、宅配便やクリーニングなどの取り次ぎを引き受けるコンシェルジュカウンターがあり、カフェの運営も行います。

共用棟への導線

各住居棟から共用棟へとつながるアプローチは、緑に囲まれた散歩道。学校帰りや仕事終わりに、特別な用がなくてもふと立ち寄りたくなり、つい長居をしてしまうとの声も。プラウドシティ伊丹の「ガーデンテラス棟」は、そんな居心地のいい場所であり、自然にコミュニケーションが生まれる場所でもあるのです。

2 木造にこだわった本当の理由

思わず長居したくなる、
木造ならではの共用空間

国家公務員住宅の跡地に建つ「プラウドシティ伊丹」は大規模住宅で、横長の敷地という事情もあり、住人同士のコミュニケーションの核となる場所をどこに置くのか、どんな建物にするのかが課題でした。
ヒントになったのは、同じ伊丹市内にできた木造のカフェ。その落ち着いた空気感や居心地の良さこそが共用棟にふさわしいとの発想から、プラウドの分譲マンションでは初めてとなる木造共用棟が実現しました。

こだわったのは、下記の3つです。

①住居棟から独立していること
②構造をはじめ、床材、壁材まですべてを木造にすること
③内装はフレキシブルに使用できること

住居と別棟にすることで騒音の問題が解消され、元気なこどもたちの声も気になりません。ふだん家に居る人が気分を変えて読書をしたいという時にも、その距離感は心地よく感じるはず。

構造を含む木造建築を採用したことのメリットは2つありました。
ひとつには、木の香りや感触など、木肌が五感に作用する安心感や居心地の良さ。もうひとつは、軽い素材であるからこそ高い天井が実現したこと。大きく外へと開く二面のガラスは、外気との一体感を生みだします。窓外の緑を取り込むような開放感は、木造だからこそ実現できたのです。

内装に細かな仕切りを設けなかったのは、長期的な使用を前提としたから。現在は子育て世代が中心の住人構成ですが、将来、キッズスペースは別の用途で使われるかもしれません。ソファを片付ければすぐにでも大規模集会が開けるよう、多様な使い方に対応できる共用棟を目指したのです。

竣工から2年。日々の暮らしに欠かせない存在となった共用棟では「木を知るワークショップ」やクリスマスパーティなど、この空間の特徴を生かしたイベントも数多く開催されています。

3 環境に配慮し、住民を見守る

経年変化が味わいを増す
これからの集合住宅

「プラウドシティ伊丹」では、内覧会の段階から木造の共用棟に大きな反響をいただきました。
たとえば、「ガーデンテラス棟のカフェが楽しみ。スーパーの後でお茶をしたり、本を読んだりしたい」(30代ご家族)や、「共用施設が充実していて、マンション内に大型ランドリーコーナーがあることも便利」(20代ご夫妻)など。

木造の共用棟は、コンクリートと鉄筋で造った建物とは異なり、経年による変化を楽しむことができる建物です。また、植林した木材を建築などに活用する「森林サイクル」によって地球温暖化の抑止につながることに加え、遠い将来にマンションそのものを建て直す際にも環境への負担を減らすことができます。構造までも木造にこだわった理由は、そこにもありました。

近年は耐火基準をクリアした集成材が開発され、木を使った建築の可能性は飛躍的に広がっています。環境への配慮はもちろん、暮らしの中にぬくもりを感じる木の感触は、これからのマンション建設の大きな目標となっていくに違いありません。 プラウドシリーズでは、「プラウドシティ吉祥寺」でも木造の共用棟を採用し、2021年に竣工予定の「プラウド神田駿河台」では、住居部にも木造系構造部材・木質内装材を採用し、日本初の木造ハイブリッド高層分譲マンションが実現します。 木とともに暮らすマンションライフが、いよいよ始まろうとしています。

※CLT協会調べ(住宅棟において10階を超える木造ハイブリッドの新築分譲マンション実績はなし)2020年1月時点

<グッドデザイン賞とは>

グッドデザイン賞は、さまざまに展開される事象の中から「よいデザイン」を選び、顕彰することを通じ、私たちの暮らし、産業、そして社会全体を、より豊かなものへと導くことを目的とした公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「総合的なデザインの推奨制度」です。グッドデザイン賞を受賞したデザインには「Gマーク」をつけることが認められます。「Gマーク」は創設以来半世紀以上にわたり、「よいデザイン」の指標として、その役割を果たし続けています。

受賞作品一覧はこちら

※掲載の情報は、2020年7月時点の情報です