室内の壁面に取りつけられている照明のスイッチやコンセントから、テレビドアホンの画面に至るまで、すべての器具類を、車椅子でも手が届きやすく、操作しやすい位置に設置。通常の住宅よりスイッチは低く、コンセントは高い位置に設置されています。
広々としたLDKに入ると、眼前に広がるのはパノラマ写真のような風景。ここは立川駅前に建つタワーマンションの一室。オーナーのSさんは、ご高齢のお母様のために購入を決めたそうです。
Sさんのご両親が住む実家は都心にあり、障害のある弟さんもここから車椅子で通勤しています。しかし、お母様の介護が必要になったことから、お父様1人に2人のサポートを任せるわけにはいかないと判断したSさんは、まずお母様の住まいを分離しようと考えたと振り返ります。そんなとき、知ったのが「プラウドタワー立川」の新築情報。立川駅の改札からデッキ伝いに進めば、そのまま地上に降りずしてエントランスに到着できるという、車椅子での生活にもこのうえない好立地です。
「実家は都心にあるとはいえ、駅までは坂道があるし、そこから電車に乗るのも車椅子だと大変なんです。ここなら母が好きな新宿の伊勢丹にも行きやすく、いずれ弟が住み継ぐことを考えても通勤に便利だし、私も職場が近いので様子を見に来やすいと思いました」
もう一つの決め手は、このマンションの上層階に備わっていた「オーダーメイドシステム」。これを活用すれば、間取りや内装が大きく変更できるため、車椅子でも生活しやすい家がつくれると考えたからです。購入を決めたSさんは、訪問介護サービスを受けながら暮らし続けられる住まいを目指し、コーディネーターとプランを練っていきました。
Sさんがイメージしたのは、ホテル。LDKの一角にお母様のベッドを置いて、物入れもお母様用のクローゼットに変更し、ここで日常生活のすべてが行えるように仕立てました。また、隣接する洋室も、弟さんが暮らすことを想定し、収納の扉はなくしてオープンに。さらに、トイレと洗面化粧室の間仕切り壁を取り払い、廊下の一部も取り込んで、広い一体型の水回り空間を設けました。お母様や弟さんが使いやすいだけでなく、介護者の介助もしやすいつくりです。
一方、間取り以外にもさまざまな工夫が。たとえば、インターホン、スイッチ、コンセント、収納の棚板やハンガーパイプも、車椅子でも手が届きやすい位置に変更しています。
他にも、バリアフリー住宅のためのきめ細やかな配慮が満載。洋室の扉は極力、軽い力でも開閉しやすい吊り引き戸を採用。LDKの入口も玄関から廊下を経由して車椅子で通る際、扉が邪魔にならぬよう、外開きを内開きに。収納は車椅子では入りにくいウォークイン型はやめ、奥行きの浅いタイプに変更。ディテールの一つ一つに「これが最後の親孝行」と語るSさんの、お母様に対する愛情が感じられます。
最後に、Sさんはこう語ってくれました。
「今後、高齢化が進めば、車椅子の夫婦が2人で暮らすといった時代が来るかもしれない。そんな将来に備えた住まいをつくるためにも、オーダーメイドシステムは有効ですね」
室内の壁面に取りつけられている照明のスイッチやコンセントから、テレビドアホンの画面に至るまで、すべての器具類を、車椅子でも手が届きやすく、操作しやすい位置に設置。通常の住宅よりスイッチは低く、コンセントは高い位置に設置されています。
洋室の扉は、床にレールがなく、上から吊った「上吊りタイプ」の引き戸を採用。手の力が弱い人にもほんの軽い力でスムーズに開閉することができ、車椅子で通過するときにも扉やレールが邪魔になりません。
洋室の一角に置かれた木とスチールの収納家具は、イタリア海軍用の製品で、ネットオークションで見つけて購入。2段の引き出しがワンユニットで、縦にも横にもジョイントして使えます。頑丈で、引き出しの開閉もスムーズ。
※掲載の内容は取材協力頂いたコメント等を弊社側で編集したものです
※掲載の情報は、2017年6月時点の情報です