応接室のどっしりしたテーブルは、府中のケヤキ並木に因んだ欅の耳付き板を用いたもの。偶然通りかかった店で原木の一枚板を見かけ、独特の杢目に一目惚れして特注したそうです。目が揃った柾目より、風雪に耐えた歴史を感じる杢目の板が好きだとKさん。
Kさんはすでに子どもも独立し、妻との2人暮らし。長年住み慣れた東京の郊外に家を構え、今はまだ仕事も現役で多忙な毎日ですが、Kさんには一つの夢がありました。それは都会の便利な場所に、子どもや友人が立ち寄りやすく、将来、終の棲み家にもなりうる居心地のよい住まいをつくることです。
そんなKさんがキャッチしたのが、以前から再開発事業が進んでいた京王線府中駅南口に「プラウド府中ステーションアリーナ」が建つという情報。15階建ての複合ビルには、商業施設、公共施設、クリニックなどが入り、マンションが占めるのは7〜15階の高層部。足元には大國魂神社の参道で、国の天然記念物にも指定されている「馬場大門のケヤキ並木」の緑が広がるという恵まれた環境です。
馴染みある自然豊かな街で、かつ駅直結という、またとない条件を逃す手はないと、さっそくモデルルームを見に行ったKさんが注目したのは、入口付近に展示されていた建物の模型。どの辺の住戸を購入すればいいかを品定めするため、「模型の周りを何度もぐるぐる回りました」と笑うKさん。頭の中にはきっと、どこから見下ろすとどんな近景や遠景が見えるかという想像上の景色が浮かんでいたのでしょう。
緑が眺められる上層階の住戸を選んだKさんは、間取りや内装が変更できる「オーダーメイドシステム」を活用し、コーディネーターと相談しながら空間づくりを進めていきました。
住戸の階層や向きだけでなく、プランに対しても明快な好みをお持ちのKさんは、現在の間取りが気に入ったことも、購入の決め手の一つになったと振り返ります。Kさんがほしかったのは、一人でこもれる書斎と、景色を眺めてくつろげる空間という、二つの場。選んだ住戸のリビングはバルコニーを囲むL字形なので、このL字の角のコーナーをうまく活用すれば、くつろぎの場がつくりやすいと最初からイメージしていたそうです。
完成した住まいのリビングの角に造り付けられているのは、ゆるやかな曲線を描いたカウンターテーブル。そこに座って新聞を読んだりコーヒーを飲んだりしながら、眺望を楽しむKさんの姿が目に浮かぶようです。
一方、玄関脇の個室2室のうち、1室は窓ぎわ一面に広いデスクを造り付けた書斎に、もう1室は来客があった際の応接室に仕立てました。どちらも壁面収納を充実させたので、見た目もすっきりしています。よく見ると、リビングのコーナーや書斎に加え、応接室の一角、リビングの窓ぎわと、計4カ所にもデスクが造り付けられています。子どもや友人が来訪した際には、どこでも居場所になるのはもちろんですが、趣が異なる複数の空間があることは、Kさんご自身が気持ちを切り替えるうえでも有効なようです。
「のんびりしたいときはリビングで、考えごとに集中したいときは書斎で、お客様を迎えるときは応接室でと使い分けができるので、やっと自分の理想の住まいに辿り着いたという満足感があります」とKさんは語ってくれました。
応接室のどっしりしたテーブルは、府中のケヤキ並木に因んだ欅の耳付き板を用いたもの。偶然通りかかった店で原木の一枚板を見かけ、独特の杢目に一目惚れして特注したそうです。目が揃った柾目より、風雪に耐えた歴史を感じる杢目の板が好きだとKさん。
木の苦労を物語る杢目に惹かれるKさんは、屋久杉の工芸品も蒐集しています。写真はリビングに飾られた湯呑みとワイングラスで、泡瘤と呼ばれる希少価値の高い杢目入り。「1000年以上を耐えて生き延びたエネルギーは、同じ生物として尊敬に値します」とKさん。
リビングの窓ぎわに飾られた清水焼の手びねりのぐい呑みは、京都の産寧坂にある店で見つけたもの。外側に5頭、内側に4頭、計9頭の馬の絵が描かれており、躍動感あふれる筆づかいと「馬九行く(うまくいく)」の語呂合わせが気に入って購入したそうです。
※掲載の内容は取材協力頂いたコメント等を弊社側で編集したものです
※掲載の情報は、2017年11月時点の情報です