栗拾いイベントを呼びかけたのは、実は、上記二つの街の街づくりを担当した野村不動産です。
こうしたイベントを行うWaku Wakuという取り組みが生まれたきっかけは、約10年前。東京都稲城市の3つのエリアで、総戸数1,000戸を超える戸建て住宅の街づくりをスタートさせた野村不動産では、新しい街が育っていく中で最も大切なことは、生き生きとした良質なコミュニティが築かれることだと考えました。
しかし、そこは道路と宅地を新たにつくったまっさらな街。つまり、ゼロからつくるコミュニティです。そこで、まずは最初に入居の始まったプラウドシーズン栗平(総戸数250戸)を舞台に、コミュニティづくりをサポートすることにしました。
目標とするのは、住宅地内だけのつながりにとどまらず、周辺の消防署や大学の学生寮といった地域を巻き込んだコミュニティづくり。その仕掛けとして、準備したのが次の3つです。
クラブハウスを設置し、分譲地の自治会、上平尾土地区画整理組合、稲城市消防署、日大関係者といったメンバーで、エリア会議を立ち上げる。
エリアコーディネーター(野村不動産社員)を配置。
街の安心・安全/育み・成長/緑と環境、という3つの街のコンセプトを定め、イベントを実施。
その中で大切にしたのは、一時的な盛り上がりではなく、気持ちのいいコミュニティが、コーディネーターなしでも継続(自走)していけること。
その過程で生まれたのが「Waku Waku」という合い言葉です。
Waku Wakuとは、楽しいこと、胸が躍ること。日々の暮らしに張り合いが生まれ、たくさんの出会いが得られること。ご近所づきあいが、そんな喜びに満ちていたら、きっとコミュニティづくりは“仕掛け”など必要ないほど定着していくことでしょう。
第1回エリアイベントは、2017年5月、「街びらき」をテーマに開催。その後は約半年に一回のペースで、消防署や日本大学学生寮、日大グラウンドで活動するサッカー部との協力体制をとり、消防車・消防署見学、消火体験、学生との交流会など、継続的なイベントを実施しました。
その中では、日大サッカー部応援団が住民の間で立ち上がり、多世代の交流もさかんに。そうなると、住民同士の集まりや活動が次々に生まれて発展していきます。サッカー教室で顔見知りになった大学生と住宅地の子どもたちは、応援のたびに絆を深くしていき、冬の大雪の日には、学生たちが率先して雪かきをしてくれました。
また、住民集会の場所として大学学生寮のホールを無償で貸してくれたり、学生たちが街のクリーン活動にも参加してくれたりと、地に足の着いた交流が続いています。
戸建て250戸が新しく建ったプラウドシーズン栗平の住民は、子育て真っ最中の若い家族が中心。宅地住民だけでなく、昔からの地元の方々や学生たちなど、多世代の交流が行われることは、地域の安全、子育ての安心という面でも、大きな成果をあげています。
※掲載の情報は、2020年1月時点の情報です