ここ宮城県には、郷土に根付いて匠の精神と技を受け継ぎ、新たな価値を生み出す「モノづくり」の職人さんがたくさんいます。そんな名匠たちを野村不動産グループカスタマークラブの方々とともに訪ね、秘めたる想いや魂に触れながら学ぶこのプロジェクト。 第二弾は、藩政時代の創業から約300年。地下鉄「河原町」駅からすぐ、染物で仙台の街を彩ってきた「武田染工場」で、長く受け継がれてきた職人さんの技と智恵を学びました。

伊達政宗公がつくった職人町で継承される伝統の染色法

伊達政宗公がつくった職人町で継承される伝統の染色法

1月23日、20組の野村不動産マンションオーナーが「武田染工場」を訪問しました。亨保年間に、広瀬川ほとりの堰場(どうば ※現:河原町~若林4丁目)で創業。明治27年に現在の南材木町へ移転して現在に到るまで、伝統を今に伝える数少ない老舗の1軒です。一行を出迎えたのは、代表取締役の武田和弘さん。この工場で受け継がれている染色法「硫化染め」と「注染(ちゅうせん)」を、作業場内を巡りながら教えてくれました。まずは、染物の柄を決める型紙の製作場へ。そこには意外にも、数台のパソコンが置かれていました。「企業のロゴを手ぬぐいに染めるような場合、グラフィックデザイン用のソフトを使うことがほとんどですね」という言葉に、一堂はちょっと驚いた様子でした。

次に案内されたのは、伸子(しんし)で張られた生地と温かい染料で満たされた染窯が並ぶ硫化染めの作業場。ここでは袢纏や帆前掛け(※帆布生地の前掛け)などを染色します。染窯から引き上げられ、真水ですすがれたばかりの反物を見た参加者は、「きれいな藍色だなぁ」と感嘆の息をもらしていました。

卓越した染物職人たちの手を経て完成する伝統の彩り

卓越した染物職人たちの手を経て完成する伝統の彩り

隣の作業場では、昨年7月にオープンした話題の施設「仙台うみの杜水族館」で販売するオリジナル手ぬぐいを、注染で染色している真っ最中でした。ベテランの職人さんが大きな機械を駆使して行っていたのは、型紙の上からサラシの布に糊を吹き付ける、染めの前段階となる「糊付け」の工程。長い生地を折りたたみながら作業が繰り返された後、30枚ほど重ねたものを若い職人さんに手渡します。そして、文字や絵柄の境目に土手を作成し、布の上から細口のやかんで染料を注入。さらに反転して、同様の作業を行います。間近で観察していた参加者は、「色が混じったり、柄がぶれたりしないかしら」と不思議そうな表情。布の束は、糊を落とすためすぐに地下水で洗浄。脱水した後、工場の裏手にある大きな干し棚で天日干しされます。長い布が幾重にも風にたなびく姿を眺めながら、参加者の一人は「洗うと一層鮮やかになったみたい」とつぶやきました。裁断や縫製を行う作業場も見せてもらい、最後まで職人さんたちの手を経て丁寧に仕上げられることを知りました。

折り方の工夫で多様な使い道が生まれる手ぬぐいの面白さ

折り方の工夫で多様な使い道が生まれる手ぬぐいの面白さ

工場から場所を移して、ワークショップにも参加。武田染工場の庄子大輔さんのレクチャーで、手ぬぐいをたたむだけで簡単にできる財布とブックカバーの製作にチャレンジしました。財布は、青海波の模様を表に、財布を開けると“福”の文字が現れるように仕上げます。「熨斗をかければ、ちょっと豪華なご祝儀袋の代わりになりますよ」という説明に、参加者たちは納得のうなずき。また、文庫本のサイズにジャストフィットするブックカバーは、「手ぬぐいの柄が斬新」と大好評。武田さんは、「手ぬぐいや風呂敷などは、本来の使い方だけでなく、現代のライフスタイルに合った活用法もあるんですよ」と、手ぬぐいを使ったティッシュカバーなども紹介してくれました。

インタビュー

インタビュー

野村不動産グループ カスタマークラブメンバー 小林仁さん・久美子さん

財布とブックカバーの出来に大満足のおふたり。

野村不動産グループ カスタマークラブメンバー 小林仁さん・久美子さん

長く愛用したくなる本物ゆえの色彩をこれからの未来へ

長く愛用したくなる本物ゆえの色彩をこれからの未来へ

武田染工場で受け継がれてきた日本ならではの染物の文化は、先人たちの知恵を大切に守りながらも、時代ごとに工夫を凝らし、作業の効率性と品質を高めてきたことが分かります。また、現代人のニーズに応える製品づくりにも意欲的に取り組んでおり、新たな魅力発信にも努めていると武田さん。古い酒屋さんで見かける帆前掛けをアレンジした、オシャレな和テイストのトートバッグを参加者の前に示しながら、「伝統の染色による独特の風合いや肌触りの良さを、もっと多くの方に知って欲しいと思っています。しかし、“古き良き時代”というだけで終わることなく、若い世代のお客さまにも愛されるような新しい製品を生み出していければと考えています」と、展望を語ってくれました。

プロフィール

プロフィール

株式会社武田染工場 代表取締役 武田和弘さん

株式会社武田染工場

東京の大学を卒業後、大手印刷会社と広告会社に勤務。2011年11月に現・代表取締役に就任。昔ながらの染物の良さを広く伝えることを使命としながら、現代のライフスタイルに合った製品も生み出している。

東京の大学を卒業後、大手印刷会社と広告会社に勤務。2011年11月に現・代表取締役に就任。昔ながらの染物の良さを広く伝えることを使命としながら、現代のライフスタイルに合った製品も生み出している。

染物作品写真

  • 染物作品写真
  • 染物作品写真
  • 染物作品写真

これからも引き続き、モノづくり体験イベントを実施して参ります。多くのオーナー様のご参加、心からお待ちしております。

これからも引き続き、モノづくり体験イベントを実施して参ります。多くのオーナー様のご参加、心からお待ちしております。

© NOMURA REALESTATE DEVELOPMENT Co., Ltd. All Rights Reserved.
© KAHOKU SHIMPO PUBLISHING CO. All Rights Reserved.